特殊相対性理論によって、宇宙はビッグバンから始まった、というのが現代の宇宙論における定説となっています。
しかし最先端の物理学を持ってしても、ビッグバン以前の宇宙がどのような状態であったか解明されていません(もちろん、あらゆる分野から仮説はそれこそ星の数ほど出ていますが)。
1980年代までは、宇宙は縮小に向かっているという定説が1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡の観測結果によって、現在も宇宙は加速しながら膨張していることが分かって定説が覆されました。
1990年なんて、天文学の歴史から見たら、ついさっきの出来事みたいなものです。
宇宙は調べるほど謎が多くなります。
1986年には宇宙の大規模構造が発見され、この大規模構造を形成するための宇宙物質の総量を見積もると、その数値は予想よりも質量が少ないことが分かりました。
その質量の足りない部分を埋めるために仮説として用いられたのが暗黒物質、ダークマターです。
さらに宇宙が加速して膨張していることが分かった1990年代に入ると質量はさらに足りなくなったことから、暗黒物質に暗黒エネルギー、ダークエネルギーが総量に加わります。
太陽系に関してはともかく宇宙に関しては、まだまだ天動説とも地動説とも、はっきり言えない程度の認識しか持っていないのが現代の天文学なのです。