神智学とは、神と結びつくことによって神の持つ神聖な知識を会得し、高度な認識に達することを目的とした学問的宗教で、古くは哲学や宗教の異端派に見られましたが、19世紀に登場した神智学協会はそれらの神智学とまったく結びつきがなく、ロシア出身のヘレナ・P・ブラヴァツキー(通称ブラヴァツキー夫人)が提唱した思想・実践で、アメリカ人のヘンリー・S・オルコット(通称オルコット大佐)と共同で組織化した団体です。
ブラヴァツキー夫人によると、神智学は宗教ではなく、神聖な知識、または神聖な科学であると提唱していますが、その実態はかなり複雑で、神秘的要素を取り入れながらも、その神秘的要素が独自の理論体系を持っていることが求められ、西洋と東洋の宗教合致を目指しているものの、既存の宗教に対しては否定的というつねに二律背反の定義を持っていました。
神智学協会の神秘性と叡智へ達する思想は精神性を重んじるさまざまな世界観に波及します。
それはパワーストーンの基礎であったりスピリチュアル・ヒーリングであったり、あるいは輪廻転生であったり新興宗教であったり、というように。
そして、神智学は積極的に占星術も取り入れたことから、20世紀に入ると三度、占星術は普及の兆しを見せます。