西洋占星術の礎となったアラブ圏の占星術

キリスト教は十字軍の派遣でも分かるようにアラブの地域までは勢力が及びませんでした。

したがってギリシャ占星術はインドだけでなく中東のイスラム圏にも流入、8世紀頃から独自の文化を取り入れて発展していきます。

イスラム圏の占星術で特筆すべき人物はペルシャ人のアルブマサルこと、アブー・マーシャルです。

アリストテレスやプラトンといったギリシャの哲学者の知識を豊富に持つ当時の占星術第一人者といわれたアル・キンディに師事、マーシャルもギリシャ哲学を学び、アリストテレスの「自然学」や「天体論」を占星術と融合させたことが偉業として伝えられています。

それらの知識を著書に多く残しており、その中で有名なのがプトレマイオスの注釈をまとめた「大序説」で、これは後のヨーロッパにおける古典・古代復興運動で復活する占星術の基礎を築いた文献になっています。

マーシャルの師匠となったキンディは占星術だけでなく翻訳や科学、医学や数学にも詳しく、とくにイスラム哲学においては祖となる人物と評価されています。

マーシャルと同時期に登場した科学者で占星術師だったアル・フワーリズミーもまたインド数学をアラビア語に翻訳して「インドの数の計算法」を記述、この著書がヨーロッパに渡り、その後、約500年に渡って大学の数学の参考書として扱われるほど傑出した人物でした。

ちなみにコンピューターで使われるアルゴリズムは彼の著書をラテン語に翻訳した際の計算法という言葉、アルゴリトミが語源となっています。

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