惑星の運動を法則化した17世紀の天文学者ヨハネス・ケプラーは「この愚かな娘、占星術は一般からは評判のよくない仕事に従事して、その利益によって賢いが貧しい母、天文学を養っている」と言いました。
当時、ケプラーは天文学者、数学者であると同時に占星術師でもあったのです。
ケプラー自身は占星術を信じておらず、富裕層を満足させるために数学と天文学を駆使して占星術を行い、そこで得た利益で天文学を支えていたわけですね。
すでに17世紀では占星術が科学から分離している証でもありますが、それでも西洋では占星術が浸透しており、第40代アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンのファーストレディであるナンシー夫人は占星術師ジョーン・キグリーを顧問として大統領の日程にまで関与した有名な話もあるほどです。
太陽系の惑星や、さらに何光年も離れた天体が地球上の小さな存在である人間に大きな作用を及ぼすのか、それについて占星術は何も解明していませんが、逆に言えば占星術を否定する材料もありません。
だからこそ、占星術は神秘的でロマンチックな存在なのでしょう。
最後は中世スコラ哲学者であるトマス・アクィナスが占星術を評した言葉で締めくくりましょう。
「星は誘えど、強制せず」。