乙丑とは、木性の陰干「乙(きのと)」が「丑(うし)」という十二支と組み合わさって成立している干支です。
干支番号は2番、初心を貫いて忍耐することで大きな花を咲かせることの出来る人です。
甲が樹木であるのに対し、乙は草花を表します。
丑は「湿った土」です。
冬ですので、その湿気は寒気によって凍りついています。
丑は月でいうと1月、寒さが極まりつつある冬の大地で根気強く根を張り続け、春を伝えるために生きる草花たちを想像してみてください。
新しく生まれた葉が寒さで参りそうになっていて、そこから負けじとつぼみをつけていく。
甲子は冬の海でしたが、乙丑の海は冬の冷たさの中に、春の息吹も若干混ざっています。
というのもそれは何故かというと、丑は冬と春の架け橋である十二支にあたるからです。
ということで、冬と春両方の色や味を知っている乙丑の生まれの人は、他人の気持ちを汲み取ってあげることの出来る優しさと、想像力豊かな頭脳を持ち合わせています。
冬の凍てついた大地に咲く、みんなで育てた一輪の花。
よく目を凝らさないと見つからない花ですが、一度人の目に付くとそれから末永く愛されます。
そんな実りを、人々と団結して生み出していくことが出来るというところが、乙丑の人が持つ魅力となります。
自分の意思とは関係なく、集団の中で生きる人です。
草花はいつも集団で生え、精一杯実りを生み続けています。
ほんわかとした温かみのにじみ出ている容姿に、目立つことはなくてもキラリと光る心の優しさが、多くの人々に必要とされるのです。
ですので、乙丑の人は甲とは違い、頑固さがありません。
自己主張は強くないですが、年をとっても外面・内面の魅力を磨くことを忘れなければ、ゆっくりと時間をかけながらではありますが、どのような人からも自然体で受け入れてもらうことの出来る品格を身につけることが出来ます。
まさに、大器晩成型。
草花のような、大人しく、可憐なイメージとは裏腹に、晩年にかけて着実に根を伸ばしていくことの出来る、したたかな才人なのですね。