「占いの話」カテゴリーアーカイブ

インドの天才数学者も夢からヒントを得る

夢が現実の世界に恩恵をもたらせた実話はミシンを発明したハウに留まりません。

たとえばインドの天才的数学者、「インドの魔術師」と呼ばれたシュリニヴァーサ・ラマヌジャン。

彼が直感的に閃いて発見した数学の定理や公式には夢が大きく関わっています。

ラマヌジャンは幼少期からヒンドゥー教の宗教教育を受けていたため、数学の公式の夢を見る際、ヒンドゥー教の神々が現れてきます。

たとえばラマヌジャンが発見した、モジュラー関数を元にした円周率の公式は収束が非常に早いことで有名ですが、その発見に結びついた夢の中にはナーマッカルの女神が登場します。 続きを読む インドの天才数学者も夢からヒントを得る

「イエスタデイ」はポールの夢のメロディ

夢が現実の世界にもたらせた恩恵、工業の発展や数学の進歩だけではありません。

芸術面でもいろいろあります、というより、芸術面こそ夢の発露が豊富な世界といえるでしょう。

ロックとポップスにおいて20世紀を代表するバンドのひとつに数えられるビートルズ。

そのメロディメーカーがポール・マッカートニーです。

彼は1965年、夢の中に浮かんだメロディを起床後、すぐに書き写し、それをピアノで弾きました。 続きを読む 「イエスタデイ」はポールの夢のメロディ

世界初のSF小説も夢から誕生

夢が現実の世界にもたらせた恩恵、もうひとつ紹介しましょう。

今回は小説です。

1816年、「夏のない年」に詩人バイロンが借りていたスイスの別荘、ディオダディ館にバイロンを含む5人の男女が集まります。

前年、インドネシアのタンボラ火山が噴火したことにより、北半球全体が火山灰によって覆われ、寒冷化していた影響で(これが「夏のない年」の理由です)、男女5人は外出もままならず邸内で過ごしていました。

あまりにも退屈だったので、バイロンは「1人ずつ怪奇譚を作って発表しよう」と提案します。

まるで中学生みたいですね。 続きを読む 世界初のSF小説も夢から誕生

予知夢は単なる偶然

夢が現実世界に及ぼす恩恵、今度は予知夢と呼ばれる現象です。

夢で見たことが近い期日のうちに現実となる夢のことですね。

この予知夢の例、もっとも多いのがお金にまつわる話です。

たとえば宝くじ。

高額当選者の声の中には必ず予知夢が出てきます。

「大金を手にして夫婦で大喜びしている夢を見たので宝くじを買ったら当たった」とか「夢に出てきた数字を書き留めたけれど意味が分からないのでとりあえず宝くじを買ったら当選した」とか。 続きを読む 予知夢は単なる偶然

予知夢の訓練は無駄な行為

予知夢にはまったく根拠がなく、偶然でしかありません。

しかし、世の中には予知夢を売り物にしている人もいます。

大抵は曖昧、抽象的な表現を用いて事象を表し、結果から抽象を解説するわけですね。

手品よりもタチが悪いのですが、なぜかこれに引っかかる人が多くいます。

個人だけならともかく、予知夢を売り物にする人は時に、大災害までも自分の広告材料にし、「事前にこの悲劇を夢で見ていた!」なんてことを言ったりもします。 続きを読む 予知夢の訓練は無駄な行為

潜在意識が希望を叶える夢になることはない

夢はなぜか潜在意識と結びつけられます。

そも、潜在意識という言葉がどこから生まれたのかよく分かっていません。

おそらく、精神分析学のジークムント・フロイトや分析心理学のカール・グスタフ・ユングが意識の存在に対する領域として用いた無意識が、いつの間にか自分に取って都合の良い夢物語の実現のために、顕在意識の対語として潜在意識という言葉が生まれたのでしょう。

ここで無意識を説明するとテツガク寄りになってしまうので省きますが、夢に意味を持たせようとする人の多くは、顕在意識が睡眠によって消失状態になっているため、潜在意識(無意識)が個人に取って有利な情報を流している、という独特の理論を持っています。 続きを読む 潜在意識が希望を叶える夢になることはない

フロイトとユング

では、夢はまったく個人の役に立たない、無用の産物なのでしょうか?

一概にそうとも言い切れないところが夢の面白いところでもあり、だからこそ夢、つまり脳の研究が進められているワケですね。

前述したように、夢が後世に残る発明や芸術の端緒にもなりましたが、それらが端緒となった原因を探る前に、現在の夢の研究がどのように進んでいるのか、それを検証していきましょう。

夢が、古代から続いていた占いやお告げから切り離されたのは前出のフロイトとユングによる夢分析が提唱されてからです。

フロイトはスイス出身で1856年生まれ、ユングはドイツ出身の1875年生まれですから、ほとんど同世代と言ってもいいでしょう。 続きを読む フロイトとユング

夢分析が精神的救済を行う

フロイトとユングについて説明を始めると、このコラム欄だけでは足りなくなるので両者の夢分析に話を戻しましょう。

夢分析は端的に言ってしまえば自己の精神的救済です。

自分では理解不能な悩みを抱いている時、夢から悩みの根本原因を探り、治療方法を考えるという手段です。

理解不能な悩みは確かに現代医学では治療不可能なところがあるので、そんな悩みを抱えている人は夢分析を試みるのも有効な手段でしょう。

ちなみにフロイトは精神分析学を、ユングは分析心理学を確立しており、それぞれ夢分析に対する方法論と結果の意味も異なっています。 続きを読む 夢分析が精神的救済を行う

無意識からのメッセージを読み取る

フロイトの精神分析学は医学的なので分かりやすい部分もあるのですが、ユングの分析心理学は理解するという意味でやや複雑になります。

フロイトの方法論があくまで治療者が患者の無意識を探ることに対し、ユングの方法論は治療される側と治療する側がコミュニケーションを取りながら、夢の中に現れる無意識(潜在意識ではありません)のメッセージを読み取ることに重点が置かれています。

どちらも無意識から探るという方法は同じですが、そこに現れるキーワードの解釈が大きく異なっていることが両者の特徴でしょう。

無意識からのメッセージは本人が気がつかないことが多いため、第三者の介入が必要になってくるわけですね。 続きを読む 無意識からのメッセージを読み取る

夢から田中さんを探りだす

フロイトとユングの夢分析、あるいは夢解釈の方法論は違っていても無意識のメッセージを探り当てて精神的な治療に当てるという意味では変わりありません。

夢分析の簡単な例を上げてみましょう。

ある日を境に、毎日、同じ郵便配達が手紙を届けに来るけれど、その手紙の中身は白紙だったりまったくの意味不明の文章だったり、という夢を見るようになったとします。

時には驚くような内容が書かれている時もありますが、起きた時には手紙の配達だけを覚えていて内容はすっかり忘れてしまっているという状況が続いたことによって、寝不足が続き、ストレスが溜まったために夢分析を受けたとします。 続きを読む 夢から田中さんを探りだす

クスリでは治らない精神的な病気も回復へ

前項では夢分析の簡単な例を上げましたが、実際はこれほど簡単なことではありません。

とくにユングの精神分析学はコミュニケーションによって夢の内容を広げていきながら無意識のメッセージを探る拡充法を用いるため、問題の収束までは慎重かつ時間がかかります。

しかし結末が見えてくるに従い、本人の気がつかないところの原因が分かってきて、治療がうまくいった際は心の中のモヤがすっかり晴れた気分になることもあります。

また悩みを意識できない場合の治療にも有効的です。 続きを読む クスリでは治らない精神的な病気も回復へ

なぜ夢を見るのか?というメカニズムの前に

夢はすべて記憶から生まれます。

人に言えないような恥ずかしい内容でも、荒唐無稽な物語でも、それらを自分で体験していなくても何らかの記憶(小説や映画、人から聞いた話など)が無意識で組み合わされ、メッセージとなって表れるのです。

もちろん、そのメッセージには重要なものもあれば、まったく無価値なもの(お金が欲しい、とか好きな子とキスしたい、とか、そんな類)もあります。

しかし、これら無意識からのメッセージがなぜ構築されるのか?さらに言えば夢をなぜ見るのか?それは現在でも解明されていません。

フロイトやユングの夢分析、夢解釈についても意識と無意識については物理的な立証はなく、単なる理論に過ぎません。 続きを読む なぜ夢を見るのか?というメカニズムの前に