安倍晴明の秘書、といっても流行りの頭が禿げた男性とか金髪タイトスーツの女性とかではなく、秘密の書という意味ですからお間違えなく。
「金烏玉兎集(きんうぎょくとしゅう)」とは、天竺で文殊菩薩による書物が伯道上人に伝えられ、その後、吉備真備を経て安倍晴明に渡った貴重な書物。
安倍晴明をなんとか追い落そうとする道摩法師、この秘書の存在を知ってしまいます。
そして安倍晴明が師匠である伯道上人のところへ修行に行っている間、安倍晴明の妻である梨子と不義密通を重ね、梨子との仲を親密にすると金烏玉兎集の在処を聞き出してしまいます。
金烏玉兎集をなんとか手に入れた道摩法師、安倍晴明が修行から帰ってくると「金烏玉兎集は私が預かった!」と高らかに宣言、安倍晴明が「その書は私が唐に行って手に入れた大事な秘書、お前が持っているわけはない:」と言い放ちます。
道摩法師、今こそ安倍晴明を討ち取るチャンスと見て「では、その秘書を私が持っていたら、その首をいただく。よろしいか?」と言い、疑うことをしない安倍晴明は応じてしまいます。
その言葉、待ってました!とばかりに道摩法師は金烏玉兎集を懐から出し、驚く安倍晴明の首を一瞬のうちに刎ねてしまいます。
どうなる?安倍晴明!なかなか陰陽五行思想に到達しないけれど、心して次項を待て!