陰陽道における正義の安倍晴明対悪の道摩法師、最初は道摩法師が安倍晴明の天才ぶりを聞きつけ、内裏(だいり:つまり天皇の私的区域)で陰陽道対決をしかけたことが始まり。
負けた方が勝った方の弟子になるという勝負を行いました。
その勝負の立会人となった帝は木箱の中にミカンを15個入れ、これを両者に見せて中に何が入っているのか透視せよ、という勝負テーマを与えます。
道摩法師、見事に「ミカン15個」と言い当てました。
安倍晴明、なんと「ネズミ15匹」と答えます。
自信満々の道摩法師、冷静沈着な安倍晴明、そして安倍晴明を応援する帝や貴族たちの大きなため息と落胆。
しかし、木箱を開けると中からネズミが15匹飛び出し、四方八方に逃げていきました。
安倍晴明、じつは式神を使ってミカンをネズミに変えていたんですね。
安倍晴明、これってちょっと汚くないですか?
たとえ陰陽師として優れていても、格下相手に汚い手を使えば恨みを買うのは当たり前のこと。
だいたい世の中、こういった傲慢なことから喧嘩とか戦争が始まるものです。
でも勝負は勝負、道摩法師は屈辱にまみれながら安倍晴明の弟子になることを承諾します。
もちろん、道摩法師対安倍晴明の代理勝負は単なる前哨戦に過ぎませんでした。
本線は「金烏玉兎集(きんうぎょくとしゅう)」という安倍晴明が持つ秘書の争いです。