道摩法師こと芦屋道満は安倍晴明のライバルだった存在と言われていますが、その存在が確認できるのは「三国相伝宣明暦経註(さんごくそうでんせんみょうれきけいちゅう)」や「宇治拾遺物語(うじしゅういものがり)」など、安倍晴明や道摩法師が没後に書かれたエンターテイメント系の書物のため、実在の人物なのか架空の人物なのか現段階では不明です。
安倍晴明のように大学寮出身の超エリートではなく、播磨国岸村の出身(ただし、これは江戸時代の文献「播磨鑑」によるもの)の非官人陰陽師と言われています。
播磨国には民間の陰陽師団体があったことや、現在でも「道満塚」「道満井」などの地名が日本各地にあることが道摩法師の信ぴょう性を高めていると言ってもいいでしょう。
道摩法師、登場する書物がエンターテイメント系(つまり本当の話であるかはともかく庶民が喜ぶ内容の物語)だけに、朝廷や貴族を守る正義の安倍晴明に対し、謀反を目論む悪の象徴として描かれています。
二元的で分かりやすいですね。
なにしろ「三国相伝宣明暦経註」は安倍晴明編纂(実際は安倍晴明没後に書かれている)で、陰陽道について詳しく解説している部分もあれば、悪と対決するスーパーヒーロー的エンターテイメントもあるので、道摩法師については真偽が分かりません。
それでも道摩法師と安倍晴明の対決、いろいろと面白いのでちょっと紹介しましょう。