環境によって人間心理は大きく影響を受けるものです。風水とは気の流れを見るものですが、その気には『陰』と『陽』があります。陽の気が良くて、陰の気は良くないというものではありません。陽と陰のバランスが取れているのを良しとします。
良いロケーション、土地選びのポイントとして陰と陽のバランスをよくみます。土地を陽・陰の観点でみるとき、それを高低差として置き換えることができます。たとえば、山の高いところを陽とし谷の低いところを陰とみます。もっと大きな視点でみると、地球はゆるやかにカーブしている球面体です。これは陰陽のバランスがとれた完全調和体です。
地球を衛星の視点で見る時はglobeですが、鳥瞰的視点では山あり谷あり河ありで、複雑に起伏をともなった景観であるわけで、これが人の住む土地は広くてたかだか100m四方、それを取り巻くロケーションはだいたいがゆるやかな起伏があるのが普通です。
この「くうねるところすむところ」人間尺度でいう「すむところ」のロケーションは適度な起伏があったほうが良い。適度な起伏のあるロケーションは陰陽のバランスが良く心地良い感じがします。
人間は適度な刺激がないとかえっておかしくなるもので、たとえばお年寄りを大切にするその心がけは立派なんですが、介護を必要とするわけでもないのに、お年寄りだからといって据え膳上げ膳、何もしないでいいようにしてしまうと、かえってよくないのです。軽作業とか、何か仕事をしてもらうほうがお年寄りの心身両面の健康にはよいのです。刺激が強すぎるとストレスになりますが、かといってまったく刺激がなければおかしくなってしまうのです。
すなわち、なんでもバランス調和が大切で、ロケーションにおいても極端ながけっぷちのような高台だとか、秘密基地でもないのに、人目を避けた谷底のようなところに居を構えるとか、そんな環境は想像するだけでストレスが溜まりそうです。また、気の状態も偏っていてよくありません。
逆に起伏の全くないのっぺりとしたロケーションのところには、良い気は集まりません。ゆるやかな起伏のロケーションは陰陽のバランスが整ったよい気のある状態が人を心地良くさせるのです。