香港に行った人なら誰でも目にするのが世界最大級の銀行金融グループ、香港上海銀行(HSBC)の香港と環太平洋を管轄する本店ビル、通称『蟹ビル』。
九龍島から香港島に向かうスターフェリーに乗ると、正面にそびえる独特と鉄骨組みを持ち、香港ドルにも描かれているビルですね。
イギリスの建築家、ノーマン・フォスターが設計、1985年に竣工し、高さ178.8m、44階建てのビルは完成当時、香港島の中環(セントラル)地区で最高の高さを誇っていました。
当時の最先端技術をふんだんに取り入れており、中でも超高層ビルとしては世界初のなる吊り構造を採用、その後の超高層ビルのランドマーク的存在にもなっています。
通称『蟹ビル』、最先端の超高層建築技術と平行して取り入れているのが風水で、地上階のゆるやかな段差(これが不規則に段差があって歩きにくい)や1階にある2基のエスカレーターが用途を考えずにハの字に開いていたりするのは建物の中を通っている『龍の道』を塞がないための設計です。
もちろん、ノーマン・フォスターが風水に詳しかったのではなく、施主の香港上海銀行が風水の指南を仰ぐように、というオーダーから設計に取り入れられました。
中国人の風水に対する信頼性が伺えるエピソードといえるでしょう。