暦であり方位である十干十二支に意味付けを行った陰陽五行説。
それら五行(五気とも言います)は互いに関係し、自ら他のものを生み出し、あるいは自らが他から生じ、自ら他を剋し、あるいは剋されることで循環が得られ、森羅万象の永続性が保たれるというわけです。
改めて、陰陽五行説を書いていくと東洋思想らしい自然界を基調とした全体的な世界観を持っていて完成された学問であることに気づかされます。
西洋や古代インドでも陰陽五行説と同じように二元論を盛んに確立させる動きはありましたが、陰陽五行説ほど体系だった学問は存在しません。
古代インドでは自我と非自我、意識と無意識を退治させたアートマンとブラフマンの二元論が起こりましたが、やがてアートマン=ブラフマンという梵我一如の理論から一元論に戻っています。
キリスト教における神学では世界の基本原理は相反する人格化された神々の存在、つまり善と悪、秩序と混沌という二元論が中心になっており、哲学の世界ではつねに(端的に言うと)心と身体の2つの実体という二元論が交わされていました。
今ではこれらの二元論を(神学はともかく)哲学で語る人はいませんが、それでも陰陽五行説は2000年以上前に確立されたまま現代に引き継がれています。
日本では干支といえば、すぐに動物が連想されますが、じつはその根底に東洋のすばらしい思想が敷かれていたのです。