森羅万象を作り出す五元素は十干に意味付けを行うとより具体性を帯びてきます。
十干の名称は自然の摂理を表している言葉であり、また陰陽五行説に基づく意味を内包しています。
例えば甲(きのえ)は樹木の始まりであり、種子が甲冑を被っているかのような形で活動を始めようとしていることを表現、戊(つちのえ)は茂るに通じてまさに樹木、草花が咲き乱れる様を表し、辛(かのと)は新に通じて枯れた草花を一掃する意味があり、壬(みずのえ)はまた発芽する種子を「妊」むという意味を表現しています。
十二支にも同じように陰陽五行説における意味が漢字に表れています。
卯(う)は旧暦の2月、新暦の3月ですが、この文字は新芽が2つに分かれて地上に出る姿を表していると言われ、草木が地面を覆う状態を意味しています。
午(うし)は陰陽の分岐点、旧暦の6月、新暦の7月ですが、「忤(つきあたる・さからう)」の立心偏を取ってこの字が当てられており、万物の衰退傾向が始まる兆候を意味しています。
戌(いぬ)は旧暦9月、新暦10月と秋も深まった頃で、木の葉は紅葉して落ちるのを待ち、草花は枯れ、生気が「滅」び去ることから戌の文字が使われました。
そして旧暦11月、新暦12月の子(ね)につながるのですが、この子、当然、根を意味し、土中の水気を蓄えて滋潤発生という待機を表しているわけです。