10個の太陽が十干の始まり

暦が十干十二支から組み立てられていることはお分かりになったと思いますが、さて、この十干十二支、どこから生まれたのでしょうか?

最初に生まれたのが十干。

現時点で実在が確認されている中国最古の王朝、殷の時代には干支が使われていた形跡が残されていますが、十干は中国神話に登場する君主、堯(ぎょう)まで遡る必要があります。

堯、その後の殷では10個の太陽が毎日交代で上っていたと考えられており、その10個にそれぞれ付けられた名前が十干の始まりと言われています。

つまり10個の太陽が一巡りすることを旬と呼んだわけですね。

この10個の太陽、ある時、一度に出てしまったため草木が燃えそうになるくらい暑くなりました。

そこで帝の堯が弓の達人、「げい」(げいの漢字は羽根冠にこまぬきの脚)に9個の太陽を撃ち落とさせましたが、それでは旬が分からなくなってしまうため、配下に天体を観測させて十干の暦を作らせた、という伝説が残されています。

余談ですが、この弓の達人、「げい」はかなり悲劇の英雄で、まず妻の嫦娥(こうが)に裏切られます。

独り身になった「げい」は家僕の逢蒙(ほうもう)に弓を教えますが、今度は逢蒙が弓の達人になると、「げい」がいなくなれば自分が天下一の弓の達人になれるとばかり、「げい」を弓矢で殺してしまいます。

なかなかの悲劇っぷりですね。

このことから、身内に裏切られることを、「(げい)を殺すものは逢蒙」と言うように
なったそうです。

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