12支の中でトラは竜の次に異質なように思えます。
他の動物は人と関わってきた動物が主です。
家畜として飼われていたりと、人と密接な関係がありました。
しかし、トラに関してはどうでしょうか?
日本人にとって、トラは珍しい生き物です。
今でも動物園などでしか見ることはできませんし、昔から日本にはトラはいませんでした。
しかし、中国や朝鮮には野生のトラがいました。
『虎穴に入らずんば虎子を得ず』ということわざからも、トラがいたことがわかります。
また、教科書などにも載る有名な『山月記』では友人がトラになってしまう物語で、中国が舞台とされています。
まだ実物が日本にいなかった頃、中国などから絵は伝わってきていました。
日本ではトラは伝説の生き物だったのです。
しかし実物は見られなかったため、江戸時代には猫を見て想像してトラの絵を描いたという逸話もあります。
その頃の絵を見てみると、トラ本来の勇猛果敢さはあまりなく、猫をモチーフにしたんだな、と思われるようなどことなく可愛い目をしたトラが多く描かれているのです。
きっと少し凶暴で、少し大きな猫を想像して描いたのでしょうね。
実際はネコ科の中でライオンをも凌ぐほど、体格は大きく、12支の中では最も強いでしょう。
その勇ましさは猫の比ではありません。