はるか昔、その年の暮れに神様は動物たちにこう言いました。
『元旦、新年の挨拶に私のところまで来なさい。最初に来た者から12番目までの者を、順に1年ずつ、その年の動物の大将にしてやろう』
それを聞いた動物たちは、それぞれ準備をして当日を待ちました。
しかし、猫はいつ神様のところに行くのだったか忘れてしまいました。
ネズミに聞くと、ネズミはわざと1日遅れの日にちを猫に教えました。
牛は歩くのが遅いから、と1日早く出ました。
その様子を見ていたネズミは、そっと牛の背中に飛び乗りました。
牛は一番最初に神様の下に着きました。
神様の御殿の門が元旦に開くと、牛の背中からネズミが飛び降りました。
そして一番になったのです。
その後を牛・虎・卯……と続き、12支が決まりました。
猫はネズミの言った日にちを信じ、翌日に神様のもとへ行きました。
しかし勝負は既に終わっています。
それで、ネズミに騙されたと気付いた猫は、今でもネズミを追いかけるようになったのです。
これは、干支の由来を伝える昔話です。
干支は日本だけではなく、アジアの各国やヨーロッパにも伝わっています。
そこで伝わる逸話は微妙に異なっていますが、どこもネズミと猫が敵対するようになった話か、ネズミが牛の背中に乗っていって一着になった話なのだそうです。
また、猫がウサギの代わりに12支に含まれている国もあります。
ネズミに騙されることなく、神様の下にたどり着いた国もあるようです。