夢が現実の世界にもたらせた恩恵、もうひとつ紹介しましょう。
今回は小説です。
1816年、「夏のない年」に詩人バイロンが借りていたスイスの別荘、ディオダディ館にバイロンを含む5人の男女が集まります。
前年、インドネシアのタンボラ火山が噴火したことにより、北半球全体が火山灰によって覆われ、寒冷化していた影響で(これが「夏のない年」の理由です)、男女5人は外出もままならず邸内で過ごしていました。
あまりにも退屈だったので、バイロンは「1人ずつ怪奇譚を作って発表しよう」と提案します。
まるで中学生みたいですね。
この時、女性の中の1人にメアリー・シェリーがいました。
シェリーは怪奇譚がまったく思いつきませんでしたが、ある晩の寝静まった後、色白の博士が横たわった男の巨人に跪き、その巨人には生命を示す何かと、その横に巨大な機械があった悪夢を見ます。
シェリーはさっそくその悪夢から物語を仕上げました。
これが現代SF小説の始まりと言われている「フランケンシュタイン、或いは現代のプロメテウス」です。
ちなみにこの時の怪奇譚はディオダディ荘の怪奇談義、ディオダディ館の夜などと呼ばれており、吸血鬼の原作も生まれています。
したがって中学生みたい、ではなく、その後、集合して、怖い話をする元祖なワケです。