夢が現実の世界に恩恵をもたらせた実話はミシンを発明したハウに留まりません。
たとえばインドの天才的数学者、「インドの魔術師」と呼ばれたシュリニヴァーサ・ラマヌジャン。
彼が直感的に閃いて発見した数学の定理や公式には夢が大きく関わっています。
ラマヌジャンは幼少期からヒンドゥー教の宗教教育を受けていたため、数学の公式の夢を見る際、ヒンドゥー教の神々が現れてきます。
たとえばラマヌジャンが発見した、モジュラー関数を元にした円周率の公式は収束が非常に早いことで有名ですが、その発見に結びついた夢の中にはナーマッカルの女神が登場します。
ある日、ラマヌジャンが眠りについていると、夢の中に、流れる血で形成されたようなスクリーンが突然に現れます。
そこにナーマッカルの女神が登場すると赤いスクリーンに文字を書き始めました。
ラマヌジャンはその文字が楕円積分の結果値であることに気がつき、目が覚めると同時にその数字を書き留めました。
それが円周率の公式に結びついたと言われています。
この円周率の公式は現在でも最高の17,526,200桁を計算できますが、ラマヌジャンは公式の定理を「証明」せず、上記のように「夢における神のお告げ」であったことからしばしば疑問視されていましたが、1985年に数学者のウイリアム・ゴスパーは円周率の計算を同桁まで実際に計算、公式が正しかったことを「証明」しています。