「壊れない」日本車は日本の豊かな風土と気候によって作り出されたものです。
現在ほど自動車技術が進んでいない時代、車の構造やエンジンがもっとシンプルだった時、日本へ輸入されたイギリスの車は夏になるとオーバーヒートに注意しなければならなかったし、ドイツの国民車、先代のフォルクワーゲンビートルでさえ箱根の山道でオーバーヒートを起こすことがよくありました。
日本の湿気でイタリア車やフランス車は電装系統やボディを傷め、真夏にエアコンが止まってしまう、などというケースも当たり前のように起きましたが、ヨーロッパ車に乗るということは、そういったリスクは当然のことと同時に所有者の奇妙な優越感だった時代があったのです。
「いやあ、東名高速の途中でオーバーヒートしちゃってさ、やっぱりイギリスは寒い国だから日本の夏は苦手なんだろうね」
みたいな会話ですね。
かくして、日本のモノづくりの繊細さと徹底さが日本の過酷な条件下を走れる「壊れない」日本車を作ったわけですから、世界中のどこの国でも通用するわけです。
ロッキー山脈を走るクロスカントリーSUVも、ベトナムの亜熱帯を走る中古のセダンも、ヨーロッパの石畳と細い街路を駆け抜けるコンパクトカーも、どこの国でも日本車を見かけるようになりました。