車後進国である日本の「壊れない車」作りをヨーロッパの車先進国が認め、その距離を縮めようとすることは嬉しいことですが、日本の「壊れない車」と同じように世界の各メーカーにはそれぞれ個性があり、その個性を守るためには多少の修理は当たり前、というのが主なヨーロッパメーカーの考え方でした。
なぜかというと、その根底には「走りの味付け」を犠牲にしないという姿勢があったからです。
フランス車の足回りはよく「猫足」と表現されます。
日本車やドイツ車に比べると乗り心地が柔らかく感じられますが、その柔らかさが特徴ではなく、柔らかさを持ちながらコーナーでのしっかりとしたグリップを保持できるしなやかさこそが特徴です。
イタリア車はカンツォーネの国だけに、確かにエンジンサウンドに美学を求めているところがありますが、それ以上に足回りのショートストロークは市街地に多い石畳でも車の挙動を安定させる意味で開発されたものです。
ドイツ車は言うに及ばず、ですが、こういった個性を守るため、個性が少しでも失われる、つまり最高の機能が劣化するような状態の場合は修理を要する、というのがヨーロッパ車の考え方。
劣化させる原因となる消耗品はできるだけ早く交換するこことで、つねに最高の品質を保てるのがヨーロッパ車なのです。
以前のヨーロッパ車は「壊れやすい車」ではなく、「消耗品を早目に交換する必要のある高品質車」だったのです。