「不正競争防止法」の目的
不正競争防止法」の目的とするところは、次の条文で示されています。
「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」(第1条)
その不正競争防止法でいう「不正競争行為」とは、次のものを指します。
1.他人の周知(※1)の商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し混同を生じさせる行為
2.他人の著名(※2)な商品等表示を自己のものとして使用等する行為
3.販売から3年以内の商品の形態を模倣した商品を販売等する行為
4.営業秘密に関する不正な行為
5.技術的制限手段(コピーガード)の効果を妨げる装置等を販売等する行為
6.誤認を惹起する行為
7.信用を害する行為
8.代理人等が商標を不正に使用する行為
9.●利加害目的で他人の商品等の表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
※1 「周知」=需要者の間で広く知られていること
※2 「著名」=全国的に広く知られていること
こうした「不正競争行為」のことが、『著作権の取り方・生かし方』という本の中で、とても分かりやすく説明されていましたので、ちょっとその部分を紹介してみたいと思います。(その中で、「不正競争防止法」のことは、「有名な他人の名前やマークにただ乗りして商売してはならないこと」と、分かりやすい言葉で表現されています)
たとえば、有名なオリンピックの五輪のマークがありますが、これはクーベルタンという人がもっていた著作権です。そのクーベルタン氏が亡くなって、50年以上経った今では、その著作権も切れています。
しかし、この五輪のマークは国際的にも非常に有名なので、これを個人が商売を目的に利用すると、不正競争防止法に触れるというわけです。
また、「シャネル」は高級香水でとても有名です。この「シャネル」という名前を、宝石商が仮に指輪につけて売り出したら、それはシャネルの高級イメージを利用したことになり、やはり不正競争防止法に触れることになるのです。
「三越」という有名な名前のデパートが日本にあります。この場合も、この名前が有名なものであることから、他人がこれを利用して自分の店舗に使用したりすると、不正競争防止法で差し止められることになるのです。
このように、不正競争防止法とは、「ただ乗りの商売を禁止するためのもの」ということになります。
〔『著作権の取り方・生かし方』豊沢豊雄著(実業之日本社)より要点抜粋〕
【弁理士の先生からのアドバイス】
不正競争の防止及び不正競争に係る問題に対処するためにも、自分が扱っている商品のブランド、ネーミングなどが、過去に何らかの形で宣伝広告されたりしたものについては、そのコピー(控え)を、できるだけ記録・保持しておくのがよいだろう。その宣伝・広告は、「周知性」や「著名性」を裏付けるものであるからだ。
また、こうした「周知性」「著名性」がなくても、販売から3年以内の商品形態を模倣した行為は、やはり「不正競争」となるので、ともかく、自分が「いつから」「どんなものを」「どういうふうに」販売していたかが示せるような、記録をとっておくことが重要となる。