「著作隣接権」とは、一つの著作権とかかわり、これを展開、普及しようとする人々の間に生じる権利のことをいいます。
より具体的にいうと、「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」「有線放送事業者」などの業にかかわる人たちには、著作権そのものではありませんが、著作物を大衆に伝達する重要な役割を果たしていることから、著作権とほぼ同様の権利(著作権に隣接する権利)が与えられているのです。
名作や名曲などの著作物を一般大衆に伝達するには、それを仲介する人が必要となるからです。それで、著作者ではないのですが、著作者と同じように印税が支払われる、というわけなのです。
たとえば、「作詞・作曲をされた歌」を歌うだけの歌手には、その「歌の著作権」はありません。しかし、その歌は、その歌手が歌ったからこそ評判になり、CDも多く売れたということもあるでしょう。
それなのに、CDがいくら売れても、出演料だけしか入ってこないというのでは、割が合わないようにも感じられます。そこで、そのCDの売り上げ枚数に応じて、著作者ではない歌手にも、印税が入るようになっているのです。
この場合の歌手とは「実演家」にあたり、著作隣接権の対象になるのです。また、その歌のCDやレコードを作った製作者や放送事業家(その他の関係者など)にも、著作隣接権が与えられることになります。
(歌手自身が作詞・作曲をしている場合は、当然のことながら「著作権」と「著作隣接権」の両方が発生することになります。)
ところで、著作隣接権は、著作権と比べて、その保護期間は短く設定されています。
著作権は本人の死後50年まで有効なのに対して、この著作隣接権のほうは、実演や放送のあった年の翌年の1月1日から数えて、50年目にその効力を失う、とされているのです。