■それなりの覚悟が必要な「自己出願」
自分で特許願の作成とその出願をやり遂げたとします。問題は、その先に待ち受けている、いろいろな手続きも自分で行うかどうか、です。
「その先のことも全部、もちろん自分でやるよ」という人もいるでしょう。あるいは、出願という目的を果たしたから(勉強のために?)、後のことは適当に考えている、という人もいます。人それぞれですので、それはそれでいいのですが・・・。
気を付けなければならないのは、特許出願が済んだといっても、その後、特許庁とやりとりする書類は期限付きのことが多いので、うっかり忘れたら最後、元も子もなくなってしまう、ということです。
「30日以内に送付のこと」といったように、送付に期限が付けられていることが多いのです。それに、出願から3年以内に「出願審査請求」を済ませておかないと、その発明は却下されたものと見做されてしまうのです。
さらに、数年先になって、たとえば「類似の先行発明あり」という理由で、特許庁から「拒絶査定」が来たときなど、自分でその拒絶の理由とされた「類似発明」を調べたりするのも大変。
それでも、拒絶理由に対する「意見書」(「拒絶の理由は見つかりませんよ」という趣旨の意見)が書けなければ、特許には至らないのです。こうした専門的な手続きを、素人が初めて行うのは至難の業でしょう。
そこで、特許庁などに開設されている「相談コーナー」を利用したりするわけです。発明や特許に関する個人的な相談は、特許庁にある相談窓口で行うことも可能なのです。
その他、発明協会や、また民間の発明関連団体などでも、個人からの相談に乗ってくれるようです。それでも、自分で書類を作成し、手続きを行わななければならないのは同じです。
出願までを自らで済ませておいて、その後の諸々の手続き(中間手続きなど)を弁理士に依頼するということも、前にも述べたように、できないことではありません。
ただ、弁理士の先生が言うには、「すでに出願(作成)されている文章の制約を受けているので(素人の作ったものなので)、改良できないことが多い」ということになります。
これも前に述べたとおりです。要は、「自己出願」の場合は、それなりの覚悟が必要ということになります。