■要は、ケース・バイ・ケース
前頁でも述べたようなことから、特許の出願書類の作成と出願はすべて、専門家に任せるべきだ、という根強い意見があります。
一方で、個人の発明家は、経費を節減するためにも、そして特許の手続きに慣れておくためにも、自らが作成し、出願するべきだ、という意見もあります。
とくに、幾つもの発明・考案を控えていて、それらを次々に製品化していくことを考えているような、個人発明家やパパママ会社などでは、その特許出願に掛ける経費もバカにできません。「とてもじゃないけど、それら一つ一つを専門家に依頼できる余裕はない!」というわけです。
どちらの側の意見も、そう唱える主張の一面には、一理あるかと思います。要は、ケース・バイ・ケースなのでしょう。
素人が書けば、特許の権利が得られるかどうかという面では、たしかにリスクが高くなるでしょう。(ただ、素人とはいえ、特許出願に精通している人も大勢いますが・・・)
その一方で、個人の発明家が自ら特許願を書いたり、出願もしたりして、手続きになれていけば、それだけ特許の世界に明るくなれます。また、個人の負担となる経費の節減にもつながるでしょう。
一つの折衷案として、今までは自分で特許を出願していたという人(個人発明家など)も今後は、発明(考案)したものを、「自ら出願するもの」と「専門家(代理人)に依頼するもの」とに、分けて考えてみる、というのもよいのでは?
何かの物品の小規模な改良など、ほんとうに簡単なもの(小物発明)は、従来どおり自ら作成・出願するとして、複雑で手間の掛かりそうなものは、やはりプロに依頼していくほうが、リスクも軽減できていいでしょう。
アイデアの内容によって、高度な発明と高度ではない発明(小物発明)の線引きは、必ずしも容易ではありませんが、要はシンプルな構造の小物的なものは自分で、そして、それなりに高度なものは弁理士にも相談するなど、そういう手段をもっておくことも、これからの個人発明の心得として大事になってくるのではないでしょうか。
安い費用でまかなえる自己出願と、安心してプロに依頼するクォリティの高いプロ出願とに、選択していく知恵、ということです。
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