■発明をテレビに出して、特許がダメになったケースも
特許事務所に発明のことを託したら、あとはそれが出願されるまで、ともかく「黙る」(口を押さえて話さない)に徹していること。そうした心構えでいることです。
こんな話を聞いたことがあります。田んぼなどで見掛ける、あの目玉模様のバルーンは、それがあることで鳥や獣が驚いて近付かないことから、農作物をそれらから守る効果があります。
でも、それを最初に考えた人は、そのアイデアを出願前にテレビか何かで話してしまった。そのため、発明の権利を得ることができなくなった、ということでした。
実は、テレビなどに出て、(未出願の)発明の内容を話したばかりに、かえってその特許がダメになった、というケースは結構多いらしいのです。出願前に発明の効果を披露して、(出願料を払ってくれるうえ、発明の製品化もしてくれる)スポンサーを見つけておこう、と思ったのでしょうか。
ともかく、出願する前に、こうした「ちょっとした心掛け」を持っているかいないかで、その後の「道」が大きく2つに分かれてしまうこともあるのです。一方は「発明長者」への道、そして他方は「発明貧乏」への道という、分かれ道です。
■出願前の発明のことを詳しく話せるのは、基本的には1人のみ
最近は、電子メールが普及していて、まるで気楽な会話を楽しむ感覚で、「文字的な会話」が人々の間を飛び交っています。もちろんのこと、ここでも、出願前の発明の内容に触れることは「御法度!」となります。
その発明が大変に重要なものであり、そしてあなたが本当に慎重であれば、親兄弟にも発明内容は明かせないはずです。でも、たった、1人、発明内容を詳しく話せる人がいます。それが弁理士です。
弁理士には、特許に関わる専門家としての「守秘義務」 (依頼者の秘密を守る義務)が課されています。「弁理士法」(第30条、77条)では、それに違反するのは「秘密漏泄又は窃用の罪」と規定されているのです。
あなたが、出願前に発明の内容のことを詳しく話せる人は、基本的には「弁理士だけ!」と心得ておいてください。(そうかといって、「くれぐれも、特許事務所にメールで、発明の詳細を記した書類や図面を、不用意に送ることのないように!」ということです。用心、用心、また用心)
出願前の発明に関しては、あの「見ざる・言わざる・聞かざる」(見猿・言わ猿・聞か猿)の三猿ではないですが、「見せるな、言うな、聞かせるな」の心構えでいることです。