■特許事務所とは、こんなところ(特許事務所の日常業務)
特許事務所での発明の相談のあと、あなたは、特許または実用新案登録の出願を依頼しようと考えたとします。その場合、まずはじめに、特許または実用新案登録の出願手続きを、その特許事務所に委任するという契約が必要になります。
契約書(特許事務所に用意されている様式を用いるのが普通)には、依頼人と弁理士が署名押捺することを原則とします。また、代理権を弁理士に委任する委任状なども必要となります。
こうした手続きが済んだのち、正式に「特許(実用新案)の権利化のための手続き」が進められることになるのです。
私も以前、あるアイデア(カードゲーム式の知育玩具に関するアイデア)の権利化について、その相談のため特許事務所を訪れたことがあります。
事務所のドアを開けると、大勢のスタッフが忙しそうに働いている姿が目に映りました。皆それぞれの持ち場で、溌剌と作業をしているのです。
それがドアを開けた瞬間、皆その手をとめて一斉に立ち上がり、「いらっしゃいませ!こんにちわ」と威勢のよい挨拶。洗練された雰囲気が感じられました。
特許事務所によって、スタッフの人数やその建物のつくりは異なりますが、相談に訪れると、だいたいは次のような流れになるかと思います。
受付けで、特許の相談に来たことなどを告げると、まずは待合室へと案内されます。そこで少しの間、差し出されたお茶などを味わいながら、待つことになるでしょう。そのあとは、応接室か所長室での相談ということになります。
このとき、相談に応じるのは、専任のスタッフのこともあれば、あるいは最初から所長のこともあります。
挨拶のあと、さっそく相談したい内容を話すことになりますが、所長はじめスタッフの人は、あなたの話をとても真剣に聞いてくれるでしょう。相談の要点を、ノートに書き出したりもします。
相談者からの相談内容も、基本的な質問をはじめ、多岐にわたります。
「こういうものを考案しまして、それを権利化したいと思うのですが…」
「このような内容の発明ですが、似たものが出願されているかどうかで・・・」
「もっと、権利を強くするためには、どういう方法があるのでしょうか・・・」
だいたい、こんな感じで進行します。
仮に今、あなたが特許事務所に相談のため訪れているとしましょう。そこは、あなたがこれまで漠然と考えていたよりも、相談しやすい場(雰囲気)であったことが分かるかと思います。
また、予想以上に(淀みなく)スムーズかつ的確に、相談内容を伝えられていることを、自分自身でも不思議に思うかもしれません。
それというのも、相談に応じるスタッフは、初めて訪れるあなたが過度に緊張することのないように、そして気楽に話がしやすいように、その場の雰囲気を和ませたり、ところどころで会話を盛り上げたりと、常に心掛けているからなのです。
■「知的財産」活用の時代、誰にでも必要となりうる場所
人によっては、特許事務所は敷居が高くて、(同時に料金も高くて)近寄りがたいというイメージがあるようです。最初から「自分とは無縁な場所だ」と決めつけている人などもいます。
でも、本当は「誰にでも必要となりうる場所」なのです。ただ、それが「いつ」、「誰が」必要となるのかが、(必要となるまでは)決まっていないだけなのです。
■発明には、「生みの親」と「育ての親」がいる!
発明者(発明家)は、「発明の生みの親」です。それに対して、弁理士は、「発明の育ての親」とも言えるでしょう。
偉大な発明はみな、この「生みの親」と「育ての親」から手塩にかけて育てられてきたものなのです。