ところで、この「弁理士」という資格は、ひじょうにハイレベルなものであることを知っていましたか?
弁理士になるための弁理士試験は、よく「毎年4000人以上が受験し、合格するのはわずか100人前後しかいない」(合格率約2.5%!!)と言われたほど、超難関の国家試験といったイメージを昔から持たれています。
だから、弁理士の試験に合格するためには、5年あるいはそれ以上の期間、勉強を続けている必要があると言われていたのです。(現在は、合格率が6%ほどになっているといいます)
なにしろ、弁理士というのは、専門的な「技術」と「法律」と「実務」の、それらのいずれにも長けていなければならないのです。
国家試験に合格した後も、実務的な訓練を積み重ねていくことが必要で、そうした長い「いばらの道」を通り抜けてきたのちに、ようやく一人前の弁理士になれるのだそうです。
でも、考えてみると、特許事務所に訪れる、一人ひとりの相談者にとって、相談の対象とするのは、長いあいだ開発や試作に苦心してきたすえの大事な発明だったり、創作だったりするわけです。
だからこそ、高度な訓練を積み重ね、専門性と実務性を備えた弁理士になら、そうした発明や考案を権利化するための諸々の手続きも、安心して依頼することができるのです。
では、そうした高度な専門知識を身につけた弁理士となるための、国家試験の内容をちょっと見てみることにしましょう。
まず、弁理士試験には、「本試験」のほかに、「予備試験」というものもあったのですが、これは平成13年度より廃止されています。よって現在は、「本試験」だけなのですが、これには「筆記試験」と「口述試験」とがあります。
「筆記試験」には、「短答式」と「論文式」とがあって、まず前者に合格していなければ、後者の筆記試験を受けることができません。
その「短答式」の筆記試験の内容は、「工業所有権法」(特許、実用新案、意匠及び商標に関する法令)、そして、「条約及び著作権法並びに不正競争防止法」となっています。
次に「論文式」の筆記試験では、必須科目として「工業所有権法」(特許法と実用新案法、意匠法、商標法の3科目)があります。
それから選択科目としては、「①地球工学、②機械工学、③物理工学、④情報通信工学、⑤応用化学、⑥バイオテクノロジー、⑦弁理士の業務に関する法律」などがあって、その中のいずれかから1科目を選択するようになっています。
最後の「口述試験」でも、やはり「工業所有権法」(特許法と実用新案法、意匠法、商標法の3科目)について行われます。