〔審査には広範囲の調査をともなう〕
前項で見てきたように、特許の審査では、過去に発行された特許の広報書類や、また外国の文献などからも調査が行われます。
だから、調査は広範囲にわたり、それだけ審査の時間も要することになります。
もし、出願前に同じ技術が使われていたり、あるいは過去の内外の文献に同じ技術が記載されているのが見つかったりした場合は、もちろんその拒絶理由が出願人に対して通知されることになります。
拒絶の理由が見つからなければ、「特許査定」の通知となります。
〔審査には時間が掛かりすぎる〕
では、なぜ実用新案には、このような特許に付きものの「審査」がないのか、それをひと言でいうと、「審査には時間が掛かりすぎるから」と言えましょう。
あまりにも審査に時間が掛かりすぎると、ようやく審査にパスしたときには、その技術内容はすでに過去のものとなってしまっている、ということもあります。
そこで、商品のライフサイクルが短命化した現代のような時代では、出願すればすぐにも無審査で登録される、そうした無審査主義の制度も必要になってきた、ということなのです。
そして、それが今の実用新案権の制度になっているのです。
〔無審査は「実体審査」の部分のみ〕
ただし、実用新案は「無審査」とはいっても、どんな書類でもすべて無条件に登録されるというわけではありません。
無審査というのは「新規性」や「進歩性」をみる、いわゆる「実体審査」の部分に関してであって、それ以外の「方式の審査」や「基礎的要件」については、その記載に不備がないかチェックされます。
不備があればやはり補正が命じられることになります。当たり前といえば、当たり前のことですが…。