特許法では「発明」のことを、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しています。そして、これには、「物の発明」と「方法の発明」の2つがあります。
では、実用新案法でいう「考案」とは何を意味しているのでしょうか。
実は、これも特許法でいう「発明」とほぼ同じ内容のことを指しているといえます。ただ実用新案法では、「物品の形状・構造またはこれらの組み合わせ」に関するものを対象としていて、その範囲での、いわば小発明のことを「考案」と呼んでいるわけです。
だから「方法」(形にできないもの)については、実用新案法の対象とはなりません。このような違いから、「特許が対象とするものは大発明、実用新案が対象とするものは小発明」などとも言われてきたのです。
先ほどの定義でいえば、特許の場合では「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」と、実用新案の場合では「自然法則を利用した技術的思想の創作で、高度ではないもの」といった程度の差になるのでしょう。
ただし、それはあくまでも条文の中でのこと。実際に登録されている特許と実用新案とで、アイデアの程度を比べてみても、その差は不明確だろうと思います。ここからは高度で、ここからは高度ではない、といった基準があるわけではないのです。
あの「洗濯機の糸くず取り具」にしても、網袋に吸盤を取り付けただけのシンプルな構造で、特許の権利を得ているのです。
だから、「特許」にするか「実用新案」にするかは、アイデアの程度の差で決めるよりも、その2つの登録制度のうち、どちらが今後の展開上有利になるかで決めるべきでしょう。
特許と実用新案の登録制度上の違いについては、後ほど詳述することにします。
次に、意匠法で保護される対象の「意匠」とは、「物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの」ということです。もっと平たく言うと「物品のデザイン」ということになります。
そして、商標法の対象となる「商標」ともなると、その条文も「文字、図形、記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合…」と何やら回りくどい表現となっています。
これも簡単に言うと、「商品やサービス業務につけるネーミングやブランド(マーク)」ということになります。