今、「裏ワザ」という言葉も流行っています。あるテレビ番組で、視聴者から裏ワザのアイデアを募ったところ、実に多くのアイデアが寄せられたのでした。
裏ワザを扱った番組が、あれだけ人気が高いのも、人々が常に質の高いアイデアを求めているからなのかもしれません。皆さんもご覧になったことがあるのではないでしょうか。
「そうか、こんな方法もあったのか!」「これはすごい! これを知っているのと知らないのとでは、生活のうえで大きな違いがあるな…」など、それら裏ワザのアイデアとしての質の高さには、いつも見ていて感心するばかりです。
こうした数々の裏ワザのアイデアのなかにも、そのきっかけが”ちょっとした思いつき”から始まっているものがあるはずです。
裏ワザというのは「ワザ」(技)と書くように、ひとつのノウハウです。ノウハウは形にはなりません。でも、そのノウハウをもしも、モノ(道具や器具)や形へと置き換えることができたなら、どうでしょうか。
しかも、それが多くの人から重宝がられ、もうそれ無しではやっていけないというほど、日常に密着したアイデア(ノウハウ)だったなら?
そうです。それは、大ヒットするアイデア製品となりうる可能性を秘めているのです。
そのことを思い起こさせる、あるヒット商品の事例があります。それこそ、ちょっとした思いつきから始まった、小さなアイデアであり、生活のなかの裏ワザでもあったものです。
ところが、最初は裏ワザ的な発想だったものが、なんとその後は、毎月200万円もの高額な特許権使用料をもらえるほどの、大ヒット商品となったのです。はて、それは何でしょう?
それは誰もが知っていて、いつもお世話になっている、洗濯機の糸くず取り具のことです。あれは、一人の主婦が日常の苦労を解消するために考え、生み出したものなのです。
電気洗濯機の中に洗濯物を入れて回すと、綿ぼこりや糸くずが出てくるので、衣類についてしまいます。そのため洗濯物を取り込んだ後に、この糸くずを一つひとつ取り除くのが昔は大変だったのです。それを洗濯機に固定した網袋をつけただけで解消したのです。
その主婦が試作した糸くず取り具は実際、糸くずをよく集めることがわかったので、これを自分だけの裏ワザにしておかず、製品化することにしたのでした。
それは多くの人の役に立ち、今でもよく売れている、まさにヒット商品となったのです。