さて、問題は「発明アイデアの企画・提案書」の作成だ。売り込みに際しては、まず、この企画書の作り方が大事になる。「いかに、この発明アイデアが優れているか」と、自分のアイデアを詳しく説明したいところだが、たくさんの文章がビッシリと書かれている説明文を、根気よく読む人は稀である。第一、会社の中の企画会議で報告するわけではないのだ。
たとえ、売り込み先の会社に、社外アイデアの担当者がいたとしても、「何の因果で、こんな企画書を読まなくてはいけないのだ!?」と思うこともあるかもしれない。むしろ、社外アイデアの受付窓口があるということは、毎日、膨大な発明アイデアの提案書、企画書の類が、一方的に届いていることだろう。それを読みこなしていくのは酷である。
だから、全部を事細かに説明するのは、最初の売り込みではやめたほうがよい。では、どうしたらよいか。企画書を開いた途端に、「発明アイデア(試作品)の写真(あるいはイラスト)」「アイデアのメリット(ポイント)」「アイデアの分野」「従来の同じ分野のものと比べて、どこが斬新で優れているのか」「予想コスト」などが、パッと目に入るような構成になっているのが一番よいといえる。
少なくとも、いま述べた項目は大きめの文字で書く。会社にとって、アイデア品でいちばん興味があるのは、「低コストで高クォリティなもの」だから、その条件が一致していれば、これらの項目が目立つようにするのだ。
以上の項目を補足する「発明アイデアの概要」は、企画書とは別にした手紙のほうで簡単に触れておけばよい。もし特許出願中であれば、その旨も記しておくとよい。未出願なら、そのことはわざわざ記すことはない。このくらい簡潔にしたほうが、よく読んでくれるだろう。
それに、このように、企画書にアイデアの写真やイラストを付けておくと、それだけで目を引きつけやすくするので、別々にしておくよりも効果的だ。送る会社が多いと「アイデア企画・提案書」に貼りつける写真も、それだけ多く焼き増しする必要があるし、手間も掛かる。
そこで、いまはコンビニエンスストアに普及したカラーコピー機を利用するのがよい。そうすれば、最初に写真を貼った企画書をそのまま必要な枚数分だけコピーできるので便利だし、鮮明な写真付きの企画書が作れる。これなら剥がれる心配もない。
もし、その発明アイデアが人の体に着けられたりするものなら、人物モデルと一緒に写ったものも用意したい。せっかく写真があるのに、写っているのが試作品だけでは使用状態がよく分からない場合もあるからだ。人物と一緒に写っていると大きさの見当もつく。試作品を作っていないときには、イラストでその状態を表す。「アイデア企画・提案書」(新製品企画書)自体にアイデアを凝らし、盛り込むことが大事なのだ。
さて、送付する会社の住所は分かったとしても、会社の誰宛に送ればよいのか。先ほどの「アイデアを求める会社」などを載せている本や雑誌では、担当者名まで書かれていることがあるが、もし分からない場合には、「社外アイデア採用担当者様」とする。これも個人発明家はよく使っている。封筒には、返信用の切手を貼った封筒を折り曲げて入れておくのがエチケット。切手が無くても返信してくれる会社もあるだろうが、このほうが返信率が高くなる。封筒に「アイデア企画・提案書在中」などと書き添えておくのもポイントだ。
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