「類似調査」にしても、すべてのものを調べ尽くすことはできないが、まず、「通販雑誌」に似たような商品がないか、見てみるくらいのことはできる。もし、似たような商品があった場合、その商品のカタログなりパンフレットを送ってもらい、さらに詳細を知ることはできそうだ。
もう一つの類似調査方法としては、「百貨店(デパート)などの同分野コーナー」を実際に見て回る方法がある。小物発明の類似商品調査としては、この「通販」と「デパート」を活用するくらいで十分だろう。その次は、特許の先願調査をする。
特許の先願調査をしていて、似たものが見つかった場合は、むしろ、「この類似発明の内容を参考にしてやろう」ぐらいの気持ちで前向きに利用することを考えるべきだ。
似ていても、発明の核心部分(特許の請求項)が同じものでなければ、権利が重なることはない。一見、構造は似ているが原理が違うということはよくある。
とにかく、似ている発明はなにかと参考になる。似た発明の内容をヒントに、自分の発明を発展させられるし、「この発明と自分の発明とは、この点で明らかに異なる」という部分も見出せる。それが見出せない場合は、「では、どうすれば違いを強調できるか」などを考えるようにする。その点は有利でもある。
さらに、特許出願書類を作成するうえでも、似た発明の文章を参考にできるという利点がある。似ているゆえに、文章作成上も多くのヒントがあるのだ。このように、似た発明が見つかることには利点もあるのだ。むしろ、似た発明は是非とも見つけるようする。
ただし、考えていた発明と細部に渡って、あまりにも似すぎている場合(同じようなものだったら)は、もう既に先願権があるものを発明しても仕方ないので、その場合はあきらめることが肝心だ。むしろ、無駄な労力を掛ける前に、見つかったのが幸いといえよう(重複発明を避けられたので)。
ともかく、先願調査をしていて、非常によく似た発明が見つかっても、このように前向きに取り組みたい。調べてみて、権利が重ならなければ、その内容を参考に使うこともできるのだ。