では、オリジナルのキャラクターグッズ(あるいはアクセサリー)など、アイデア作品の複製(コピー)が作りたいという場合に適している、「注型による型取り複製法」のノウハウについて、簡単に述べてみよう。まずは、複製作品(商品)を作るうえで、原型となる「オリジナルキャラクター像」を、粘土などでつくる。「原型」は型取りのために必要なのだ。原型用に適している粘土にも各種ある。
〔キャラクター(原型)が立体的な(裏も表も凹凸のある)ものであれば「両面取り」、浮き彫り(レリーフ)のように片面が平らなものは「片面取り」でコピーをするわけだが、ここでは詳しく触れない。〕
次に、原型をプラバンなどで仕切り、囲むようにする。原型が中央に位置するプラバンの枠をつくるのだ。そして、この枠の中に液体状のシリコーンゴムを、原型が埋まるまで流し込む。このように型取り用には普通、シリコーンゴムを用いる。
原型に流し込む直前に、シリコーンゴムの液には適量の硬化剤を攪拌しながら、加えておくので、徐々に固まりはじめる。やがて、完全に固形化したシリコーンゴムから原型をくり抜くと、当然そこには原型がくり抜かれた跡(窪み)が残ることになる。それが、原型の形どおりの型になるのだ。
こんどは、その型(空間)の中に、注型剤(※無発泡ポリウレタン樹脂)を注ぐ(これにも注ぐ直前に硬化剤を加えておく)。この注型剤も液体であるが、それに硬化剤を加えると、徐々に固まり出すのである。つまり、固まったものは、元の原型と全く同じ立体形となるので、こうして原型のコピーが作れるというわけである。
※「無発泡ポリウレタン樹脂」=「有機溶剤系ウレタン樹脂」(型取り複製による製品・商品作りには欠かせない注型剤のこと)
こうした注型による複製技術を利用すれば、身近にある人形や置物、さらに各種の模型などのコピーを好きなだけ作ることができる(もちろん、原型として使える素材のものに限る)。しかし、既にある商品のコピーを作って、それを販売することには当然、問題がある(自分だけが用いたり、お気に入りのインテリアとして作るのはよい)。
そうではなく、発明や考案(自分自身のアイデア)によるアイテム(オリジナル作品)を、ある程度の量作りたいといった場合に、この方法は有効なのだ。だから、オリジナル作品を量産して売るのもオーケー(もちろん、コピーが作れるといっても、量的に限界はあるが)。また、発明サンプルとしても、同じものをコピーできるので、同時に数社の会社に提案する際などにも便利だ。