身の回り品の改良発明的なアイデアであれば、それを自分で試作して、さらに自分で企業に売り込むということが望ましい。というか、そうすることにこそ、醍醐味があるのだ。特に、ここでは「物の発明」のなかでも「小物発明」について述べているので、なおさら、自分で作ることに意義を感じてもらいたい。そういうわけで、ここからは基本的に、試作も自分で行うという前提で、話しを進めていく。
発明の試作といっても、プロ級の作品をつくることはない。綺麗な試作品ができるに越したことはないが、美術展覧会に出展するわけではないのだ。要は、試作品のコンセプト(同時に、構成・構造・効果など)が分かればよいのだから、まずは自分の考えているアイデアを自分で形にすべきなのだ。また、そうすることは発明センスの向上にもつながるので得策である。
それに、なんといっても自分が作る作品には愛着もわくだろう。愛着がわくと、意欲もわくし、ヒラメキもわいてくる。だから、「ワクワクする」というだろう・・・ちょっと、シャレも入ったが、そういう感覚が大事なのだ。子供のときはみんな、何かを作るのが好きだったと思う。粘土を練って何か作ったり、紙工作をしたりと、こういう図工気分、図工感覚、ワクワクした気持ちで試作も楽しくできればいちばんよい。
そして、自ら作った試作品を他人に見せて、その反応を観察する。同時に、よく意見も聞くようにする。たとえ厳しい批判であっても、それに謙虚に耳を傾けることで、さらに試作品に磨きを掛けることができるのだ。そうして、ついに自他ともに納得のいく試作品ができたら、いよいよ、それを企業へ新製品として提案する段階に移るというわけだ。
ここまでで述べたことを纏めると、試作品には以下のような利点がある。
***試作品(発明サンプル)があると [#uc37bafc]
-発明(考案)やアイデアが形になるので、そのイメージ(外観)を確認できる。
-発明(考案)やアイデアがコンセプト通りに機能するか、効果を確認できる。
-具体的な形にすると、改良点も発見しやすくなる。データも得られる。
-具体的な形にすると、自分の作品としての愛着もわく。つまり意欲もわく。
-試作品をつくる過程でさらなるアイデアや応用法を見つけやすくもなる。
-具体的な形があるので特許書類の作成上、構造や効果の説明、図面記載が容易になる。
-企業に発明品を売り込む際に、発明サンプル(試作品)があると説得力がある。
-試作品をひとつ作っておけば、使用状態の写真を撮って、それを利用することも可能。
よって、スポンサーもつきやすくなる、といえる。つまり、売り込みに際しては、断然有利になり、成功しやすいのだ。