大国主大神から神武天皇誕生まではダイジェストで紹介しました。
この部分、ギリシャ神話や北欧神話のようだったら、天津神と国津神の大戦争となるところです。
なぜ、そうならず天津神と国津神の間の交渉だけで国譲りになったのか、ここではそれを追求せず、それこそ平和的国民性、ということにしておきましょう。
その後、神武天皇は東征を行い、ヤマト王権を倒して大和朝廷を築き、ここより神代ではなく人代としての歴史が始まります。
ここまでが、古事記や日本書紀に記されている日本神話。
初期こそ伊耶那美命と伊耶那岐命のおどろおどろしい話があるものの、その後はむしろ人間っぽいエピソードが繰り広げられます。
戦いといっても、せいぜい建速須佐之男命が高天原で悪さをするくらい、大国主大神が八十神を追い払うシーンでも残虐な記述は出てきません。
ギリシャ神話や北欧神話のように悪魔の化身である化け物が登場することもなく(八岐大蛇なんてギリシャ神話のデュポンや北欧神話のフェンリルに比べれば可愛いものです)、世紀末的大スペクタクルもなく、淡々と人間社会に溶け込んでいきます。
それは日本の正史だから、と言ってしまえばそれまでだけれど、やたらと戦争や支配を繰り返す西洋的神話に比べれば、ずっと平和的で、日本的と誇ってもいい部分ではないでしょうか。