天岩戸に閉じこもってしまった天照大御神ですが。あまりにも洞窟の前が騒々しく、かつ楽しげなので、洞窟を塞いでいた岩戸を少しだけ開けて外の様子を伺おうとしますが、光景までは見えず音しか聞こえません。
「ちょっと、ちょっと!私がいないっていうのになんでドンチャン騒ぎしてんのよ!」
思わず声を荒げる天照大御神。
すると、1柱の神様が声だけで答えます。
「いやー、すみません。でも、天照大御神よりもっとエッチな、じゃない、もっと尊い女神様が現れちゃったもんで・・・」
それを聞いた天照大御神、もはや、なぜ自分が天岩戸に隠れたのかも忘れ、自分よりも尊い女神がどんな神様なのかちょっとだけ見ようと岩陰から少しだけ身体を乗り出します。
その瞬間を逃さず、天手力男神(アマノタジカラオ)が天照大御神を引き出したことによって、高天原と葦原中国に光が戻りました。
日本は明治時代に入って西洋文化と同時に西洋的道徳観念が流入してくるまでは性に関して比較的おおらかな風土を持っており、平安時代の貴族生活や江戸時代の庶民生活からもそれが伺えます。
天照大御神を天岩戸から引き出すために天宇受売命が妖艶な踊りを披露する辺り、国民性を表していた、と考えるのも面白いでしょう。
さて、無事に天照大御神は高天原と葦原中国に再び光を与えましたが、まだ問題は残っています。
そう、狼藉三昧の弟、建速須佐之男命へのお仕置きです。