洞窟に幽閉され、息子ナリの腸で固く縛られているロキの頭上で巨人族の女性が冷酷な笑みを浮かべています。
彼女の名前はスカジ。
かつて、ロキが発端となって神々に殺された巨人族スィアチの娘。
その父の恨みを今、ロキにぶつけようとしています。
彼女の手には毒蛇が握られ、その毒が滴り落ちてロキの顔にかかるように細工をしていました。
やがてロキの顔に滴り落ちる毒蛇の毒、そしてロキの悲鳴。
永遠に続く苦痛をロキに与えたスカジは満足して洞窟を去ります。
その姿を見て悲しんだ妻のシギュンは桶で滴り落ちる毒を遮りますが、やがて桶がいっぱいになると捨てに行かなければなりません。
その間、容赦なく毒はロキの顔に滴ります。
北欧神話では、このロキの苦しみによる身悶えによって地震が起きると信じられていました。
このロキの苦しみ、永遠に続くと思われた時、妻のシギュンは妙案を思いつきます。
これほど強い毒ならば、ロキを縛りつけている息子ナリの腸も溶かすことができるのではないか、と。
案の定、桶に溜まった毒を腸に垂らすと腸が溶け、ロキはようやく解放されます。
妻のシギュンにしても自分が産んだ息子を殺し、その腸で主人を縛りつけるという残忍な神々を許しておけなかったのでしょう。
ロキは傷ついた姿で立ち上がり、神々を滅ぼす戦いを心に誓います。