北欧神話は横糸が複雑に絡み合って本筋を形成するややこしい部分があるので、アプローチを変え、ロキを中心として時系列を組むと分かりやすいでしょう。
巨人族でありながら、最高神オーディンが巨人族の住むヨトゥンヘイムまで下りていき、ミーミルの泉の水を飲んだ後、なぜかオーディンに同行するロキ。
古ノルド語でロキは「閉ざす者」や「終わらせる者」という意味があります。
不吉な名前ですね。
ロキは父親こそ名も無き巨人でしたが、母親はラフフェイと言い、一節にはアース神族の一員だったという仮説もあります。
つまり巨人族の中でもアース神族の血を引き、特殊な才能(とくに神々を欺く力:狡猾ともいいます)を持っていたので、最高神でありながらまったく全知全能ではないオーディンを口車に乗せて義兄弟の契を結ぶことぐらい簡単なことだったと推測がつきます。
ギリシャ神話のトリックスター、ヘルメスも口から先に生まれてきた策略家でしたが、ヘルメスはゼウスに対して忠誠を誓っていたので、ロキとはちょっとキャラクターが違いますね。
とはいえ、アースガルドにオーディンと共に入った頃のロキは敵対というよりもむしろ神々のために働いたほど、一見、忠誠を尽くしています。