北欧神話はなぜ天地創造と同時に世界終末まで世界観として描かれていたのか、というと、この北欧神話の構成の元になった「散文のエッダ」では重要な一節として、その後に書かれた「古エッダ」では冒頭にある「巫女の予言(ヴォルヴァの予言)が、いきなり天地創造と最終的な世界滅亡を語ることがその理由です。
映画の世界でもよくありますよね。
結末を見届けた脇役が語り部となって全編を話し始める、という方式。
最近の映画ではクリストファー・ノーランが監督した「インセプション」で、サイトー(渡辺謙)の元にやってくるコブ(レオナルド・ディカプリオ)がファーストシーンに登場するという、あの手法です(あんまり紹介するとネタバレになってしまうので)。
一種の倒置法ともいえます。
巫女の予言は最高神オーディンの問いかけに対して応える形で語り始められ、その結末は巨人族との最終戦争で、神々も巨人族も死に絶えるという衝撃的な最後を迎えます。
果たして、巫女の予言通りに物語は進むのか?
オーディンはその予言に対して何か策を講じるのか?
しかし、運命は無情にも巫女の予言通りに進んでいくのであった…。
なんて惹句がぴったり似合うのが北欧神話ですね。
実際、巫女の予言通りに現実は突き進んでいくんですが。