北欧神話における世界の始まりはギンヌンガガプという巨大で空虚な裂け目です。
ギンヌンガガプに限らず、北欧神話もギリシャ神話同様、いろいろと呼び名があるのですが、一応、その中から多数派と見られるポピュラーな呼び名を採用します。
このギンヌンガガプのおよそ北側という曖昧な場所に氷の国のニヴルヘイムがあり、およそ南側という同じく曖昧な場所に灼熱の国、ムスペルヘイムがあって、ギンヌンガガプにはニヴルヘイムからの凍りつくような冷気とムスペルヘイムの燃え尽くすような熱気が吹きつけていました。
この冷気と熱気がぶつかって霜が発生、その霜から垂れた滴が毒気となり、この毒気から北欧神話最初の巨人、ユミルが誕生します。
ユミルと同時に牝牛のアウズンブラが生まれ、ユミルはアウズンブラの乳を飲みながらユミルの身体(主に足)から次々に巨人を生み出していきます。
牝牛アウズンブラは(栄養補給を目的として?)塩の氷を舐めると、そこから最初の人間型神であるブーリを生み出します。
ブーリはその後、ユミルから生まれたヨトゥンと呼ばれる巨人の1人と交わり、ボルという息子を授かると、今度はそのボルがまたもや巨人のベストラという女性を娶って子どもを三人産ませます。
それが、オーディン、ヴィリ、ヴェーという三神です。