「指輪物語」に出てくるドワーフやエルフが北欧神話の民族であったことに対しては後述するとして、そろそろ北欧神話の本題に向かいましょう。
現在から神の概念をたどると、どうしてもイエス・キリストやモーセといった預言者からの一神教に行き当たりますし、仏教においてもブッダという超越した存在があり、それぞれは人として生きる道を説いていますが、神話の世界とは言ってみれば人間が生きる道以前、自然の畏怖に対して人間はどのように対処すべきか、つまり人間が生きていくためにはどうすべきか、という原始的な信仰が含まれています。
したがって、どの神話を取っても国づくりから始まり、人間に自然の恵みを与える神や人間の生活を脅かす自然の神がいて、それぞれが大掛かりな戦争を行うという、なんともスペクタクルで人間臭い神様が多く登場してきます。
日本の神話然り、ギリシャ神話然り、当然、北欧神話も例外ではありません。
現代では血なまぐさい神話の世界ですが、それを血なまぐさいという道徳観念を植えつけたのが現在の宗教観であるとも言えます。
スペクタクルな神話の世界観は現代の物語の題材としては秀逸なので、だからこそ北欧神話もギリシャ神話と並んで、日本で形を変えてゲーム化されたりコミック化されたりしているのでしょう。
では次節より、スペクタクルな北欧神話の世界を紹介します。