大地の神であり、ゼウスの祖母に当たるガイアの予言を実現させないために愛する妻、メティスを丸呑みして一心同体となったゼウスですが、ひとつ忘れていることがあります。
それはガイアが予言した「メティスは最初に賢い娘を生むが…」という一節。
じつは丸呑みした知恵の神メティス、すでに娘を身ごもっていたのです。
いくら全能のゼウスといえども、体内に育つ娘を放置できず、やがて頭痛を抱えるようになり、体調に変化が起きてしまいます。
そこで配下である予言と英知の神プロメテウス(ヘパイストスという説もありますが)になんと、頭を斧でかち割ってくれ、と無謀な命令を下します。
なにしろ神々の王の命令ですから背くわけにはいきません。
プロメテウス、仕方なく斧でゼウスの頭をかち割ると、そこからは知恵の神メティスが身ごもっていたアテナが甲冑をまとって誕生しました。
その瞬間、宇宙は大きく揺らぎ、大地と海は激しく動き、太陽は軌道上で静止しました。
アテナはゼウスが最愛する娘で、女神のなかの女神として崇拝を集めています。
ギリシャの首都の名前を見れば、いかに人気のあった女神様であるか想像がつくでしょう。
ところで頭をかち割られたゼウスはどうなったか?などと聞かれても困ります。
その語、アテナを溺愛したことを見れば無事だったことは明白ですので、案外、「ふー、ようやく頭痛が収まったわい!」などと呟いて割れた頭をポリポリと描いていたのかもしれません。
さすが、全能の神様です。
To be continued.