父であるウラノスの呪いの言葉に怯え、自分の子供を次々と丸呑みする愚行を繰り返した神々の王クロノスと、クロノスに味方したタイタン一族を奈落のタルタロスに幽閉したゼウスですが、そのなかの1柱、アトラスだけは幽閉せずに見せしめの罰を与えます。
それは世界の西の果てで天空を支え続けるというもの。
クロノスに加勢し、ゼウスたちを苦しめるほど筋骨隆々とした巨躯と怪力の持ち主だっただけに、ゼウスはアトラスを許さず、タルタロスに幽閉するよりも辛い罰を与えたのです。
アトラスとは天空を支える巨神ですが、名前には「耐える者」という意味があります。
後世、アトラスを描いた絵画は多く存在しますが、そのどれもが筋肉質で体脂肪ゼロの巨人が丸い天球を頭上に支え、表情は苦悩に満ち、膝は今にも崩れ落ちそうに描かれています。
とても辛そうです。
負けちゃうっていうのは今も昔も大変ですね。
ちなみに世界の西の果てはギリシャからジブラルタル海峡を渡ったアフリカ側のことで、ここには結婚と出産の女神であるヘラの宝である黄金の林檎が実る木々があり、「ヘスペリデスの園」があったところです。
この黄金の林檎が実る木々を守っていたのがアトラスの娘たち、ヘスペリス。
辛い罰に耐えられたのも、自分の最愛の娘たちを見続けることができたからでしょう。
To be continued.