過去の王にして未来の王

以上がトマス・マロリー著「アーサー王の死」のダイジェスト版です。

かなり駆け足ですが、一応、アーサー王物語のツボぐらいは押さえてあるはずです。

本当は最後のモルドレッドとの戦い、すごく面白いのですが、かなり長いので割愛しました。

他にも面白いエピソードはいろいろあるのですが、それらも文章量の都合でカットしています。

聖杯探索に関してはかなり意図的に割愛していますが。

アーサー王物語に興味を持った人、最初は「アーサー王の死」から入ると分かりやすいと思います。

それから派生した物語を読むと登場人物に対する愛着は一層、深まるでしょう。

ランスロットはどの書物においても誉れ高き円卓の騎士でモテ男ですが、ガウェイン騎士に関しては書物によってイメージが大きく異なります。

「ガウェイン卿と緑の騎士」では強いだけでなく人格者として描かれていますし、「ガウェイン卿とラグネルの結婚」ではハートウォームなストーリー展開を読むことができます。

いずれにしろ、アーサー王物語は「ブリタニア列王史」以来、並列的、直列的に派生物語が生まれているので、解釈の違いを楽しめるでしょう。

その意味でアーサー王物語は完結しているとは言えず、新解釈の物語も現代において誕生し続けています。

まさに墓石に書かれていたように、過去の王であると同時に、未来の王でもある、といえるのではないでしょうか。

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