Categories: アーサー王伝説

創作だった歴史書の「ブリタニア列王史」

妻グィネヴィアを妃として娶り、自分がいない間に王へ治まったモルドレッドに対して怒り心頭、怒髪天を突く勢いのアーサー王は残存勢力を引き連れてブリテン島に引き返します。

もちろんモルドレッドにしてもそれは想定内。

かつてアーサー王が僻地に追いやったピクト人やスコット人を傭兵に雇い、迎え討ちます。

戦いは凄惨を極めましたが、やがてアーサー王はモルドレッドをカンブラン河畔まで追い詰め、ついに倒すことに成功しますが自らも瀕死の重症を追ってしまいます。

妻のグィネヴィアは自分の非を反省してか、それともアーサー王のお仕置きを怖がってか、自ら修道院に入って尼僧となり、アーサー王は3人の湖の乙女によって「幸福の地」であるアヴァロン島に運ばれます。

それは死ではなく、再び、ブリテン島の王になるまでの間、傷を癒やす目的として。

と、いうのが「ブリタニア列王史」に描かれているアーサー王の粗筋、ダイジェスト版です。

かなり盛っていますよね。

「ブリトン人の歴史」では、戦闘指揮官だったアーサー、いきなり王が横恋慕と略奪愛をした女性の子供だったことはまだしも、わずかの期間で北欧からフランス、やがてローマ帝国まで制圧してしまう勢いを持っていた、だなんて。

もちろん、史実にはそのような歴史は残っていません。

つまりジェフリー・オブ・モンマスの創作なのです。

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