アーサー王はケルト系民族(ブリトン人とかガリア人とか、いろいろな総称を持ちますが、民族的な話は別の機会に置くとして、このコラムではケルト系民族で統一します)の間で語り続けられた英雄です。
ブリテン島に住んでいたケルト系民族はヨーロッパ本土から侵攻してきたサクソン人(アングロサクソン系の民族ですね)にやがて征服され、同化させられてしまいますが、一時、抵抗を示していた時期があります。
その抵抗を指示していたのがアーサー王。
アーサー王指揮の元、ケルト系民族は30年以上もの間、平和的に暮らすことができたといいます。
だいたい6世紀中頃の話。
アーサー王の死後はサクソン人がブリテン島を支配したことからケルト系民族に取って憎きサクソン人を少しでも撤退させたアーサー王は民族の誇りとして語り継がれていきました。
これがアーサー王伝説の起源となります。
この民族伝承にはその後のアーサー王物語で有名なエピソードとなるエクスカリバーも円卓の騎士も、さらに聖杯伝説も出てきません。
つまり、それらのエピソードは民族伝承と異なる形で派生していったわけですね。
ここが日本神話やギリシャ神話と大きく異なるところ。
アーサー王伝説には正史がないのです。