F-1レースドライバーはレース中、心拍数が人間の限界値を超えることが周回中に必ずあります。
その限界値を超えている時は前を走るレースカーをオーバテイクする時であり、難しいコーナーを最速で走る時、つまりレースの中でもっとも緊張する時なのです。
交感神経が全開で緊張感マックスなのに、ミスはほとんどありません。
人間の限界値を決めているのは副交感神経で、恒常性を保つために交感神経にブレーキをかけています。
人間の腕の筋肉は両腕で500kgを持ち上げることができるといいますが、普段、その重さを持ち上げることができないのは副交感神経が交感神経にブレーキをかけているからなのです。
この副交感神経のブレーキ作用を弱めるには交感神経をより強くするしかありません。
F-1レースドライバーの通常の心拍数は40~50、少ない人だと35にまで下がるそうです。
通常の人間よりも心拍数が明らかに少ないですね。
心拍数を緊張の度合いとして考えると、F-1レースドライバーは通常の人間よりも緊張のマックス状態が断然に高いといえるでしょう。
この緊張度の幅こそ、緊張を緩和、弛緩させる唯一の手段です。
目の前にある事柄に臨む緊張よりも高い緊張を経験していれば、目の前の事柄に対して余裕を持って臨めるわけですね。
では、目の前の緊張がこれまでにないレベルの高い緊張だとしたら?
それこそ、次の緊張に対する大切な経験値となるわけです。