平成22年の調査によると、メンタルヘルスの問題で一カ月以上休職している社員がいる事業所は7.3%にもなります。
厚生労働省でもメンタルヘルスの問題に取り組んでいます。
その現状を改善しようと、企業でのメンタルヘルスケアは義務化されつつあります。
身体的な無理をさせないために労働時間や労働環境の規制を行うように、精神的なケアも企業に義務化させようというのです。
確かに義務化されれば、企業はケアをしなくてはなりません。
それで救われる人もいますが、問題もまだあります。
会社は健康診断のように、メンタルの健康診断を行います。
そこで問題があれば産業医や外部の医師、カウンセラーに診察を受け、通院するなどして改善に向かわせるのです。
ただ、ここで問題なのは、診断結果が会社などに漏れないか、という点です。
人事部や上層部にその結果が漏れて、それで出世などに不利になるのではないか、と心配してしまいます。
もちろん、守秘義務はあります。
しかし、それが本当に守られるのでしょうか?
また、産業医が会社寄りの診断をすることもあります。
さらに、体の病気と違って、『こうすれば治る』というのはありません。
人それぞれに見合ったケアが必要になり、マニュアル化できるものでもないのです。
そのような点で、まだ整備が整っていないのが現状です。
それでも義務化の流れは悪いものではありません。
企業も社員も、メンタルヘルスを考える良いきっかけになるでしょう。
問題点を改善していければ、メンタルヘルスを崩す人も少なくなっていくはずです。
企業も前向きにメンタルヘルスケアに取り組んでいかなくてはならないのです。