エジプトの遺跡の中でも有名なカルナック神殿の中に、巨大な1匹の「黄金虫の像」が安置されていることはご存知だろうか。
もちろん、はるか古代エジプト時代から置かれている。
実はこれ、古代エジプトで崇められていた神聖甲虫「スカラベ」の像なのだが、何を隠そう、その実体は「フンコロガシ」なのである。
すなわち、太陽神を崇める古代エジプトでは、その聖なる太陽のように、完全に近い円(球体)をせっせと作る、あのフンコロガシを神聖視したのであった。
スカラベにはこのような言い伝えがあるが、現在でもスカラベの巨大な像の置かれた台の周りを何人もの人がグルグルと回っている。
まるで、どこかの宗教団体の儀式のようにも見えるが、実はただの観光客が観光ガイドの、ある説明に従ったものである。
「このスカラベの像の周りを何回かまわると良いことがあると言われています。
3回まわると恋人が見つかります。5回なら結婚できます。15回まわれば離婚ができます。
7回まわると願い事が叶います」(但し、ガイドによっては微妙にそのまわる回数が違っていたりする)。
このような説明を聞いた観光客が、それぞれの願い事を叶えようと、次々と像の周りを歩き出すというわけである。
さて、そのスカラベはもともと、古代エジプトでも金運や財運をもたらす守護神しての信仰もあった。
そして、今ではこれが世界中の人々から愛される人気お守りアイテムの一つともなっている。
もちろんのこと、古代エジプト時代においても、スカラベはもっとも重要な宗教モチーフであり、また民衆からもお守りとしての高い人気を保っていた。
日本ではこれが「黄金虫」(コガネムシ)の仲間といったイメージがあるが、その読み方を「オウゴンチュウ」とするとその語感から、なにやら「金運」にあやかれそうな雰囲気も漂ってくるではないか。
ということで、ここではスカラベの置物の周りをまわるというおまじないを紹介しよう。
スカラベのオブジェやアクセサリーは日本でもよく見かけるものだが、それを持っていないアナタは自分で適当なサイズのスカラベを粘土で作るか、あるいは絵に描いてみよう。
こうして用意されたスカラベのレプリカ(アクセサリー、粘土、イラスト等)は、「運(お金)が転がり込んでくる象徴」ともなるのだ。
さしずめ、「フンコロガシ」ならぬ、「ウン(運)コロガシ」といったところか。
そして、金運・財運の向上を願いながら、その周りを正確に7回、時計回りにまわるのである。
ただし、願い事を念じ終わる前に、目が回らないようにくれぐれも気をつけたい。