静かに、しかし確実に人気を集めた日本の佳作「かもめ食堂」にもおまじないのシーンがあります。
フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を営むサチエに、泥棒と間違えられた男性、マッティがコーヒーの入れ方を教えるシーン。
挽いた豆をドリップに入れ、指を真ん中に差しながらマッティが言います。
マッティ「コピ・ルアック」
サチエ「・・・は?」
マッティ「おまじないだよ」
サチエ「・・・コピ・ルアック」
こんなやり取りですね。
映画の中ではこのおまじないを唱えたサチエの入れたコーヒーは確かにおいしくなる、という筋立てでした。
映画の後半、このコピ・ルアックの説明をきちんとしているのですが、知らない人のために解説すると、これはフィンランドのおまじないではなく、バリ島産のコーヒー豆の名前。
ジャコウネコ科のイタチ、ルアックがコーヒーの実であるコーヒーチェリーを食べ、その種子であるコーヒー豆を排泄、それをきれいに洗ったのがコピ・ルアックですね。
ルアックの町内にある消化酵素や発酵によって独特の香味が加わり、コーヒーでも珍品として扱われているとか。
やりますね、フィンランド人のマッティ、サチエさんにおまじない、として思い込ませるなんて。
サチエ役に小林聡美さん、旅行者のミドリに片桐はいりさん、荷物をなくした日本人女性にもたいまさこさんを起用した、日常的だけれど心にやさしい映画です。
こちらもお勧めの作品。